ミナミコルリクワガタ
学名:Platycerus acuticollis namedai
分布:四国〜九州北部
基産地:徳島県土須峠
体長:♂:8〜11.5mm
♀:8〜10mm
1.形態
♂は、四国では、基産地の徳島県土須峠周辺では黒銅色の個体が多いのに対し、香川県境や愛媛・高知県境付近では青味の強い個体が多くなり1),2)、九州においても、黒銅色の個体が多いものの青味の強い個体や緑色の個体も出現するようです3)。
♀は、銅色〜少し緑色のかかった銅色の個体が多いようで、赤紫色の個体は稀なようです。
♂も♀も原名コルリやトウカイコルリでは滅多に混ざらないような小型の個体が多く、上記亜種に比べて上翅がざらついた感じとなります。
♂の胸の張り出し位置は、原名コルリやトウカイコルリより後ろ寄りとなります。
2.分布
新亜種として記載された1987年の時点では、四国3産地、九州2産地が紹介されていたのみでしたが4)、その後、多くの新産地が確認されています。ただし、やや局所的に分布しているようです。
また、九州では北部(福岡、大分)にしか生息していないようです。
九州では600〜900m付近のブナ帯とシイ帯の境界付近が濃くなっているそうです3)。
3.採集
(新芽採集)
ミナミコルリに関しては、新芽採集に関する情報は極めて少ないようです。
(材割採集)
原名コルリやトウカイコルリが好む水分含有量の多い灰色〜黒色に腐朽した地面への埋没材というよりは、やや乾燥した細い落ち枝に入っている確率が高いようです。
2004年5月、四国御在住のクワムラヤさんより、ミナミコルリ成虫・幼虫と共に、成虫が採れた材も送っていただきました。かなり乾燥したフカフカの材でした。
複数の幼虫をいただきましたが、原名コルリやトウカイコルリ幼虫に比べ、いずれも非常に小さかったです。
ミナミコルリクワガタの産卵痕と成虫脱出口(右上)
(その他)
新芽での採集記録は少ないようですが、発生時に産卵木の裏で交尾するペアや、柳床を飛行する個体の採集記録はあるようです3)。また、クワムラヤさんは、発生木から脱出中の♀成虫の採集にご成功されています。
文献
1)芦田 久、他(1991) 四国産コルリクワガタの雄の色彩変化に関して,月間むし(240):37-38
2)谷角 素彦、他(2003)中国地方のコルリクワガタ,月間むし(390):52-59
3)漆山誠一、他(2004)九州のルリクワガタ属,月間むし(402):37-49
4)藤田 宏(1987) コルリクワガタとツヤハダクワガタの地域変異,月間むし(197):3-7