ルリクワガタの採集

 関東近郊での主観的な採集方法をまとめてみました。

@ルリクワガタ
(新芽採集)
 僅かに新芽での採集事例もあるようですが、一般に新芽採集は不可能と言われています。理由は、ルリの発生時期はコルリより早く、まだブナの巨木の上部がようやく芽吹き始めた時期となるため、人目に付かないからとか…。立ち枯れや空中に浮遊した倒木(=気温上昇に伴う温度上昇が早い)に産卵するルリクワガタ、飼育下での後食も確認されているようなので、確かに発生初期に関しては一理ある気もしますが、7月頃まで野外活動個体が確認されるようで、そうなると何故低木の新芽に付かないのか説明できない気がします。
 まだまだ謎が多そうです。


(材割採集)
 ルリクワガタの最も有効な採集法。成虫を採集するには、秋〜冬〜春がベストだと思います。やや乾燥気味の立ち枯れや空中に浮遊した倒木、それもやや太い材を好みます(直径20cm程度以上)。乾燥には強いようですが、日当たりの悪い東〜北側斜面に多いように思います。
 食痕は材の表面に近い所を走っています。(・)マークがあっても幼虫の孵化に至っていないケースが多く、表面近くに食痕が認められない場合には、別の材を探した方が良いようです。

   
ルリクワガタの入っている(空中浮遊)倒木や立ち枯れ


(その他)
 発生時期に飛翔中の個体を網ですくい採ったり、発生木や産卵木にたかっている個体を採ったりする方法もあるようですが、まだ経験はありません。

Aコルリクワガタ(原名亜種・トウカイコルリクワガタ)

(新芽採集)
 豪雪地帯に生息する原名亜種は、最も新芽採集が容易なルリクワガタ属です。5月下旬〜6月上旬の風のない晴れた日がベスト。ブナ、ミズナラ、カエデ、コバノトネリコなどの新芽に集まるようですが、ブナが圧倒的に多いように思います。新芽の開き具合を見ながら、標高や日当たり加減を調整し、飛来ポイントを見極めると、それこそ灯火採集のように場所を移動しなくても、次から次へとコルリが飛来するという夢のような時間を体験できます。雪国では、雪解けによって発生時期が一極集中する上、ブナの巨木が完全に新緑になっしまっても地面はまだ冷えていて、背の低いブナの新芽はほど良い開き具合になるという環境が、コルリの新芽採集を容易にしている要因だと思います。
 一方、雪が比較的少ない地域に生息するトウカイコルリの場合、発生は4月下旬〜5月中旬頃になるようですが、原名亜種ほど新芽での採集は簡単ではなさそうです。発生時期が分散する上、新芽の開き具合にもバラツキが生じるのが原因と思われます。


ブナの新芽に飛来した原名コルリ


(材割採集)
 コルリクワガタは、湿度の高い(ただしやや硬い)灰色〜黒色に腐朽した地面への埋没材を好みます。材の直径は3cm〜10cm程度で、北側斜面や谷部など、湿度の高い場所に多いように思いますが、乾燥気味の斜面でも巨木の下の落ち葉をどけて、埋没している枝を探すと見つかることがあります。産卵マークの確認が棲息しているかどうかの目安になりますが、成虫は産卵マークが不明瞭になった古い材に多いように思います。
 産卵マークは樹皮の剥がれた地面に接する側や、浮き上がった樹皮の裏側に認められます。
 トウカイコルリクワガタも材採集なら比較的容易に採集できます。ただ、厳寒期は材が凍結していて地面から引きずり出すことが出来ないので、晩秋と春が採集シーズンになるように思います。


埋没材より姿を見せたトウカイコルリ♂成虫


Bホソツヤルリクワガタ
(新芽採集)
 同所に棲息するトウカイコルリクワガタの新芽への飛来が終了した後、少し遅れて新芽に飛来するそうです。山梨では5月上旬〜中旬にトウカイコルリが新芽に飛来し、5月下旬にホソツヤルリの飛来がピークになるとか…。まだ、採集実績はありませんが、簡単な採集とは行かなそうです。

(材割採集)
 ルリクワガタがやや太い立ち枯れや空中浮遊倒木、コルリクワガタが直径5〜10cm位の地面埋没材を好むのに対し、ホソツヤルリはやや細い空中浮遊倒木や部分枯れの枝を好み、住み分けをしているようです。
 他のクワガタが棲息していないような、干からびた材にも入っています。


ホソツヤルリクワガタの産卵痕

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